よるかぜ@DEEP
私の趣味、世界観、センスに共感してくれる人の集まるクオリティの高いサイトにしていきたいです。ほぼ読書感想文です。
[27] [28] [26] [22] [24] [19] [25] [18]
[PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
容疑者Xの献身 東野圭吾
東野圭吾 著
文芸春秋
2005年08月発行
最近ドラマにもなったことで旬な一冊ですね。
直木賞を獲った人気のガリレオシリーズです。
ドラマのせいで、湯川学のイメージがどうしても福山になってしまいます。
ほかの役所はともかく、この湯川学だけは思いっきりハマリ役だと思います。
そんなこともあり、非常にイメージしやすく頭に入ってくる印象でした。
実際にドラマの方は見たことがありませんが、おそらく出来は良いものになっていると推測されます。俳優陣も豪華なラインナップですしね。力の入ったドラマ制作となっているようです。
さてこの本の内容に触れますが、ある隣人の凶行を知った主人公の数学者石神が、隣人を守る為に尽力し、それを主人公の旧友である物理学者湯川が事件の真相に迫るというストーリーです。非常に特殊なケースで話自体おもしろいのですが、最もポイントとなるのは数学者である主人公石神とガリレオこと物理学者の湯川という2人の天才の繰り広げる頭脳戦です。
まず隣人というのは女性で、当初ほとんど面識の無い隣人のためになぜ犯行隠蔽に尽力するのかという疑問ですが、これは石神の特別な感情によるものです。恋愛感情などと簡単に言い表せるものではなく、恩返しという言葉で説明しているのですが、ここの部分が非常に作品の肝になっています。「愛」というものの表現として通常の想像を超えた無償の愛、その愛の形を命がけでやってのけようとします。犯罪を犯すという許される行為では無いのですが、石神の行動や思考には本当に感動しました。
石神の使用したトリックですが、本当に周到で僕も読んでいて全く気づきませんでした。緻密に計算され事件の発端であり石神が庇う隣人の靖子でさえ何も気づかずに事件の終焉を迎えてしまうという完璧なトリックです。ただ、それは石神の自分を犠牲にするという確固たる覚悟なくしては完成されないものですので現実世界においては使用不可能なものであるといえるでしょう。
本来であれば誰も事件の本質に気づかないで石神の書いた筋書きで終焉を迎えてしまう訳ですが、そこで天才物理学者が憚ります。彼の推理もまた天才的で、事件の本質に届いてしまう訳です。ここで重要なのが湯川が事件の真相を求める理由は石神を想う気持ちであり、2人は唯一無二の難しい会話を楽しめる友人なわけです。
最終的には石神の意図にまで届くわけですが、石神の尊厳を護る為に靖子に事件の全容を話してしまいます。驚愕し、自責の念に駆られた靖子は出頭の道を選びます。署内で石神と対峙し土下座をするのですが、非常に切ない結末となります。石神にとっては先の人生をまで犠牲にしたものであったのに結果として靖子を生かすことにはならなかった訳です。
最後は石神の咆哮でこの話は終わるのですが、その時石神に触ろうとした警官を湯川が止めます。「彼にさわるなっ!」「せめて、泣かせてやれ・・・」湯川の石神を想う気持ちが伝わってきます。
素晴らしい作品ですので、おすすめです。
文芸春秋
2005年08月発行
最近ドラマにもなったことで旬な一冊ですね。
直木賞を獲った人気のガリレオシリーズです。
ドラマのせいで、湯川学のイメージがどうしても福山になってしまいます。
ほかの役所はともかく、この湯川学だけは思いっきりハマリ役だと思います。
そんなこともあり、非常にイメージしやすく頭に入ってくる印象でした。
実際にドラマの方は見たことがありませんが、おそらく出来は良いものになっていると推測されます。俳優陣も豪華なラインナップですしね。力の入ったドラマ制作となっているようです。
さてこの本の内容に触れますが、ある隣人の凶行を知った主人公の数学者石神が、隣人を守る為に尽力し、それを主人公の旧友である物理学者湯川が事件の真相に迫るというストーリーです。非常に特殊なケースで話自体おもしろいのですが、最もポイントとなるのは数学者である主人公石神とガリレオこと物理学者の湯川という2人の天才の繰り広げる頭脳戦です。
まず隣人というのは女性で、当初ほとんど面識の無い隣人のためになぜ犯行隠蔽に尽力するのかという疑問ですが、これは石神の特別な感情によるものです。恋愛感情などと簡単に言い表せるものではなく、恩返しという言葉で説明しているのですが、ここの部分が非常に作品の肝になっています。「愛」というものの表現として通常の想像を超えた無償の愛、その愛の形を命がけでやってのけようとします。犯罪を犯すという許される行為では無いのですが、石神の行動や思考には本当に感動しました。
石神の使用したトリックですが、本当に周到で僕も読んでいて全く気づきませんでした。緻密に計算され事件の発端であり石神が庇う隣人の靖子でさえ何も気づかずに事件の終焉を迎えてしまうという完璧なトリックです。ただ、それは石神の自分を犠牲にするという確固たる覚悟なくしては完成されないものですので現実世界においては使用不可能なものであるといえるでしょう。
本来であれば誰も事件の本質に気づかないで石神の書いた筋書きで終焉を迎えてしまう訳ですが、そこで天才物理学者が憚ります。彼の推理もまた天才的で、事件の本質に届いてしまう訳です。ここで重要なのが湯川が事件の真相を求める理由は石神を想う気持ちであり、2人は唯一無二の難しい会話を楽しめる友人なわけです。
最終的には石神の意図にまで届くわけですが、石神の尊厳を護る為に靖子に事件の全容を話してしまいます。驚愕し、自責の念に駆られた靖子は出頭の道を選びます。署内で石神と対峙し土下座をするのですが、非常に切ない結末となります。石神にとっては先の人生をまで犠牲にしたものであったのに結果として靖子を生かすことにはならなかった訳です。
最後は石神の咆哮でこの話は終わるのですが、その時石神に触ろうとした警官を湯川が止めます。「彼にさわるなっ!」「せめて、泣かせてやれ・・・」湯川の石神を想う気持ちが伝わってきます。
素晴らしい作品ですので、おすすめです。
PR
← 白夜行 HOME アキハバラ@DEEP →
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
ブログ内検索
リンク
プロフィール
HN:
yorukaze
年齢:
44
性別:
男性
誕生日:
1980/02/02
職業:
海洋冒険家(うそ)
趣味:
サッカー 読書 金卵
自己紹介:
なにいってんだあんたThe World of GOLDEN EGGSだよっ
最新コメント
[08/16 NONAME]
[04/27 Presencia]
[03/10 管理人]
[03/04 NONAME]
[10/28 マイク]
最新トラックバック